新しいタイプ薬「分子標的薬」とは?
1990年代から開発が始まった分子標的薬は、がん細胞が分裂するときなどにその現象を起こしている分子そのものに作用する薬で、がん細胞の複製・分裂をどのように抑えているのか、よくわかっていなかった今までの抗がん剤とは異なるものです。
また、乳がんに使われるトラスツズマブなどはがん細胞が増殖するときに出すシグナルを標的にすることからシグナル伝達抑制剤とも呼ばれています。
分子標的薬の種類
分子標的薬には様々な種類があり、日本では2001年にイマチニブが承認されたのを皮切りに次々と承認されています。現在、臨床試験が行われているものもあり今後も承認される薬の数は増えていくでしょう。
薬物療法で「治癒」が可能ながんもある?
がんの治療において手術などの補助的役割の多かった薬物療法ですが、分子標的薬の開発により薬物療法だけでも治癒が可能な場合が出てきました。
元来手術の対象にはならない血液のがんや、抗がん剤の効果がない大腸がんなどに対しても再発率を下げ長期生存の可能性を増やすなどの効果が確認されてきています。
今後医学が進めばさらに高い治療効果が薬物療法で得られるようになるでしょう。
乳がんの再発率低下
無治療では100%、AC療法とタキサン系薬剤でも56%が再発する乳がんですが、さらに分子標的薬トラスツズマブを用いることによって再発率を28%まで抑えることが出来ます。