がんの基礎知識

「がん(悪性腫瘍)」は、正常な細胞が変異を起こしてがん細胞に変わり、細胞増殖のコントロールが全く効かなくなって、勝手に増え続けてしまう病気で、ほとんどは無治療のままだと全身に転移して患者を死に至らしめます。細胞のがん化は、遺伝子に異常が生じることで起きるため“遺伝子の病気”とも言われています。しかし、親から子へと受け継がれる遺伝性の病気とは異なります。

もともと人間の数多い遺伝子の中に、細胞のがん化を進める「がん遺伝子」とがん化を止める「がん抑制遺伝子が」存在します。普段はこの二つの遺伝子が互いに押さえ合っていますが、このがん遺伝子やがん抑制遺伝子が異常を起こすと、正常な情報が伝えられず、増殖のコントロールができなくなります。これををがん化といいます。すなわち、遺伝子の傷が積み重なることで、正常な細胞ががん化するのです。

発がんさせる原因のひとつに「たばこ」があります。たばこには100種類以上の発がん物質が含まれており、たばこから出た煙の中にも発がん物質が含まれています。研究でがんになった人のうち、男性の30%、女性の5%がたばこが原因だと考えられています。

食べ物にも発がん物質が含まれていることがありますが、食べ物に含まれる成分同士が胃の中で反応して、発がん物質となることもあります。食塩や焼け焦げた食べ物、高カロリーの食事、熱い食べ物なども発がんに関係します。その他、発がん物質には、待機中の汚染物質や粉塵などがあります。また、太陽から発せられる紫外線や、放射線の強いエネルギーを浴びることで遺伝子が傷つけられ発がんすることもあります。

正常な細胞はほかの臓器では増殖できませんが、がん細胞は大きくなると、周囲の組織やほかの臓器に飛び増殖ができます。これを「転移」といい、がんを早期に発見できれば転移は少なく、治る可能性が格段に上がりますが、発見が遅いと転移の可能性が高くなり、治る可能性は低くなります。

現在、がん治療の3本柱は「手術療法・化学療法・放射線療法」ですが、がん腫瘍を切除する手術療法が治療の中心です。ただ広範囲を切除すると、後遺症で患者さんの生活の質を低下させてしまう問題がある為、切除範囲を縮小しようとする考え方になっています。その為、転移などがあると、その分広範囲を切除しなければならないので、早期に発見が重要なのです。

昔はがんは不治の病でしたが、今は一部の特殊ながんを除き、早期に発見、治療できれば確実に治る病気になっています。皆さんも、定期的に健診を受け、早期に発見できるようにしてください。

がんの特徴

がんの特徴は、自立性の増殖機能があることです。自立性というだけあって、人間の新陳代謝を無視して自律的に増殖してしまいます。この症状は、見つかるまで止まることはないようです。ただ、この自立性の増殖機能だけがある場合は、増殖のスピードがそこまで速くないことから、良性腫瘍とよばれています。

大きく問題があるのが、「悪液質」と呼ばれるものです。悪液質とは、正常な組織に必要な栄養を奪ってしまい、結果として体が衰弱してしまうという症状です。こちらの症状があると、「悪性」のがんと判定されます。その他にも、浸潤や転移といった、別の箇所にも新しいがん細胞が出来てしまう場合も悪性腫瘍として判定されてしまいます。悪性腫瘍をすぐ発見できるように、先ほどもお伝えしておりましたが、定期的に検診を受けることをおすすめいたします。

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